キャッチ&リリースって本当に効果あるの?

どうも、いわな坊主です。本日のお題はキャッチ&リリースです。

キャッチ&リリースってそもそも何なの?

みなさん釣った魚はどうされてますか?「全部持って帰って食べてるぜ!」って人もいれば「さばくの面倒だから逃がしてる」なんて方もいらっしゃるかと思います。しかしながら釣り人みんなが魚を好き放題持って帰ると、魚の再生産が追い付かず滅んでしまって釣りなんてできなくなるかもしれません。そこで登場した考え方がキャッチ&リリースで、釣った魚を逃がしてやることで末永く釣りを楽しんでいこう、というものです。でも、本当に逃がした魚はちゃんと生きてるのか?本当に効果があるのか?実践している側としても、こうした疑問には必ずぶち当たるものと思います。実はその疑問に答えを出すべく、キャッチ&リリースの効果について検証している論文がいくつも発表されています。そこで今回は、それらの論文をもとにキャッチ&リリースの効果について科学的根拠に基づいて見ていきたいと思います。

キャッチ&リリースについて検証している論文

■土居 隆秀ら 「実験池においてキャッチアンドリリースされたイワナ、ヤマメの生残と成長」 日本水産学会誌 70(5), 706-713(2004)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/70/5/70_5_706/_article/-char/ja/

こちらの論文では実験池に飼育された魚を餌釣りと毛鉤釣りで釣り上げ、再放流した後の経過を観察して生残率や成長率について検証しています。ヤマメ、イワナともに放流後の死亡率は15%以下で、自然の環境下でも個体数の維持にキャッチアンドリリースは有効であることが示唆されています。また、釣った魚に砂をまぶして乾いた手で掴んで針を外してリリースした個体は、死亡率が高くなる傾向にあったようです。このことから、釣った魚の扱い方が、リリース後の生残率に影響を及ぼす可能性があると言えます。

■坪井 潤一ら 「キャッチアンドリリースされたイワナの成長・生残・釣られやすさ」 日本水産学会誌 88(2), 180-185(2002)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/68/2/68_2_180/_article/-char/ja/

こちらの論文では、堰堤や滝によって孤立した河川のイワナを餌釣りで釣って標識放流を行い、時間が経ってから同じ場所で再捕獲し、生残率や成長率について検証しています。結果によると、釣り上げた直後の死亡率(えらに針がかかって大量出血したものなど)は6.7%でしたが、死亡せずにキャッチアンドリリースが行われた個体については成長率や生残率の低下は認められなかった、とあります。また、釣られやすさは1回の釣獲経験に左右されず、大型個体および成長率の高い個体が釣られやすい傾向にあったようです。これらのことから、イワナに関しては釣りを持続的に楽しむためにキャッチアンドリリースは有効であり、リリースすることで魚が学習し釣られにくくなる傾向は無い、と言うことが出来るようです。ただ、この調査は餌釣りで行っているので、ルアーやフライのような擬餌針だとどういった結果になるのか、といったところは個人的に興味があるところです。

■芳山 拓 「釣りがつなぐ希少魚の保全と地域振興~然別湖の固有種ミヤベイワナに学ぶ~」 海文堂出版株式会社 2019年1月11日 初版発行

私の大学時代の後輩の研究成果で、然別湖のミヤベイワナを対象としています。キャッチアンドリリースによる死亡率についても言及していて、釣り上げたミヤベイワナを生け簀の中で24時間および17時間保持する実験を行い、その後の死亡率を調べています。調査の為に釣り上げた個体は458個体で、そのうち8個体が釣り上げた直後に死亡したものの、生け簀で保持した個体(合計49個体)については死亡したものはなったそうです。他にも釣り人の目線で面白い研究を行っているので、興味がある方は手に取って読んでみてください。

結論!キャッチアンドリリースには一定の効果がある!

以上の様な論文の結果を見ていくと、針の掛かり所などが原因で死んでしまうことがあるものの、キャッチアンドリリースされた魚の多くは、その後もきちんと生き残っていることがお分かりいただけたかと思います。また、その生き残りの良し悪しには魚の扱い方が影響を及ぼす可能性についても言及されています。末永く釣りを楽しむためには、根こそぎ持って帰るのではなく、小さい魚や食べきれない魚は逃がしてやって、積極的に将来の釣果に投資することが重要なのかもしれません。